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那須川天心、世界前哨戦でサンティリャンと激突!

那須川天心、世界前哨戦でサンティリャンと激突!

那須川天心ボクシング 画像出典: Amazon Prime Video Boxing 13 公式ページ

“神童”那須川天心、ついに世界前哨戦の舞台へ

2025年6月8日、東京・有明コロシアムで開催された「Prime Video Boxing 13」で、プロボクシング界の注目株である那須川天心選手が、WBA世界バンタム級6位のビクトル・サンティリャン選手(ドミニカ共和国)と対戦しました。この試合は、那須川選手にとってプロ転向後7戦目となる重要な世界前哨戦として位置づけられており、格闘技ファンの大きな注目を集めています。

キックボクシング界で「神童」と呼ばれ、42戦無敗の伝説を築いた那須川選手は、2023年4月にプロボクシングへ転向。転向後も破竹の快進撃を続け、現在6戦6勝(2KO)の無敗記録を保持しています。現在はWBC世界バンタム級1位、WBA・WBO2位、IBF4位という主要4団体すべてで4位以内の高いランキングに位置しており、今年11月にも世界挑戦が期待される状況となっています。

初のサウスポー戦となる重要なテストマッチ

今回の対戦相手であるビクトル・サンティリャン選手は、身長167センチの左ボクサーファイターで、WBAバンタム級6位にランクされる実力者です。アマチュアで200勝25敗の戦績を残して2018年にプロ転向し、現在14勝(5KO)1敗の戦績を誇ります。2023年6月には石田匠選手とのWBAバンタム級挑戦者決定戦で1-2の僅差判定負けを喫しましたが、堅いガードを武器とする技巧派として知られています。

那須川選手にとって、この試合はボクシング転向後初のサウスポー戦となります。現在のバンタム級世界王者たち、WBC王者・中谷潤人、IBF王者・西田凌佑、WBO王者・武居由樹がいずれもサウスポーであることを考えると、年内にも実現を目指す世界挑戦に向けた重要なテストマッチと位置づけられます。

試合前の記者会見で那須川選手は「負けたら全てを失う」と発言し、この試合に賭ける強い決意を示していました。一方で「いつ挑戦してもいいと思われる試合をしたい」とも語り、世界挑戦への自信も覗かせていました。

Amazon Prime Video独占配信で世界に発信

この歴史的な一戦は、Amazon Prime Video Boxing 13として同サービスで独占ライブ配信されました。配信は17:00に開始され、那須川選手の試合は全6試合中の第5試合として19:30頃に行われる予定でした。地上波やBS・CSでのテレビ生中継は行われず、インターネット配信のみでの提供となりました。

Amazonプライム会員であれば追加料金なしで視聴可能で、未加入者も30日間の無料体験を利用することで視聴できる仕組みとなっていました。この配信システムにより、国内外の多くのボクシングファンがリアルタイムで注目の一戦を見守ることができました。

同じカードでは、WBC・IBF世界バンタム級王座統一戦として中谷潤人選手対西田凌佑選手の試合も行われ、日本ボクシング界にとって記念すべき一日となりました。また、日本バンタム級王者の増田陸選手やプロ転向した元ボクシング世界選手権金メダリストの坪井智也選手も出場し、豪華な対戦カードが組まれていました。

戦力分析:スピード対技巧の興味深い対戦構図

那須川選手の最大の武器は、キックボクシング時代から培われた卓越したスピードと多彩なステップワークです。ボクシング転向後も「ボクサーですけどボクシングの動きをしない、那須川天心を楽しみに見てほしい」と語るように、従来のボクシングの枠にとらわれない独特のスタイルを確立しています。

一方、サンティリャン選手は体が柔らかく、中南米特有のやりにくいタイプとして知られています。パワーはそれほどありませんが、ガードを固めながらじわじわと距離を詰め、自分のペースに引きずり込む実力派です。速いフットワークはないものの、ヘッドスリップやダッキングなどでパンチをかわすのが上手く、簡単にはクリーンヒットを許さない選手として評価されています。

専門家の間では、那須川選手のスピードが主導権を握ると予想されていましたが、サンティリャン選手の堅いガードをこじ開けられるかが勝負の分かれ目とされていました。特に那須川選手の得意とするボディブローでサンティリャン選手の足を止め、ガードを下げさせることができるかが注目されていました。

世界王座への道筋と今後の展望

この試合の結果によって、那須川選手の今後のキャリアが大きく左右されることになります。勝利すれば今年11月の世界挑戦が現実味を帯び、日本ボクシング界の新たなスターとしての地位を確固たるものにできます。現在のバンタム級世界王者の顔ぶれを見ると、いずれも日本人ボクサーが占めており、那須川選手の世界挑戦が実現すれば日本人同士のビッグマッチが期待されます。

特に注目されているのは、同じく元キックボクサーである武居由樹選手(現WBO世界バンタム級王者)との対戦です。那須川選手とは極真空手時代からの因縁があり、ファンの間では「世紀の一戦」として期待の声が高まっています。

長嶋茂雄氏の存在感に言及した那須川選手は「僕もそういうふうにならないといけない。僕は、ボクシングにエンターテインメント、文化をつくることを意識している」と語り、単なる勝利以上の価値を試合に求めていることが伺えます。

Prime Video Boxing 13は、日本ボクシング界の未来を占う重要な一日となりました。那須川天心という稀代の格闘家が、新たな舞台でどのような物語を紡いでいくのか、これからも目が離せません。


本記事は2025年6月8日に開催されたPrime Video Boxing 13の情報に基づいて作成されています。最新の試合結果については公式発表をご確認ください。

この投稿は投稿者によって CC BY 4.0 の下でライセンスされています。